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失敗しない! デカールの貼り方をセンスに頼らず法則化する その3

「失敗しないデカールの貼り方の法則化」も一応の最終回です。
前回、前々回ではデカールの角度や色彩から小デカールの貼り方、貼る位置についてまとめました。
今回はデカールのインスタ映えポイントとも言える機体ナンバーや部隊章などの大デカールの扱いと、デカールワークそのものについてまとめを行います。

大デカールだけがストーリーを持つ

前回、前々回のエントリーで「小デカールは模様である」という話をしました。
ですが大デカールはそのサイズ故に(小デカールより遥かに)ストーリーを持っています。
例えばGPシリーズの機体番号であったり、アナハイムやサナリィのロゴであったり、キマイラ隊のエンブレムのような部隊章だったり、自分はこういう立場だぞ、という認識をしてもらうために一目で分かる場所に描かれます。

一番最初のエントリーで「大デカールのルールは目立つところに貼る」と言ったのはこの事です。

スケールモデルの場合
スケモの場合は逆に周囲との調和が必要かな、と思います。

五飛、大デカールはどこに貼ればいい

五飛に聞くまでもなく、そもそもその面積故に貼る所が限られるのが大デカールです。
本体なら肩、前掛け(スカート)、ふくらはぎ付近。装備で言えば盾、プロペラントタンクやブースター、大体このぐらいではないでしょうか。
その中でも肩と盾を優先的に考えれば9割方問題はないかと思います。

パーツ内での貼る座標を具体的に書くと、ほぼX軸は水平センタリングが採用されています。
エクシアの盾やGP01の肩や盾がそうですね。

X軸がセンターの場合、Y軸は上下どちらかのパーツに寄せるかど真ん中か、となりますが、エクシアのようにエンブレムならど真ん中、文字はGP01のように上下に寄せるのが収まりが良い感じがします。
ですので一旦、丸や正方形のデカールは真ん中、横長デカールは上下の端に寄せる方が良い、としておきます。

また面積が大きいデカールは斜めに貼るのも多用されます。
νガンダムやストライクフリーダムの前かけ(スカート)、アストレイの盾などがそれですね。
オリジナルで斜めに貼る場合はパーツからはみ出すぐらいのデカールを使うとサイズ感が強調されていい絵面になります。

斜め貼り
機体番号でよく見られるパターンです。エンブレムなど上下を固定したデザインがなされているものは斜めにすると違和感があるケースがあります

斜め貼りは見せ球みたいなものなので小さめのデカールで貼っても効果が薄い感じありますね。
大判斜めデカールを多用すると途端にごちゃごちゃしてくるので、見せるポイントを絞る意味でも1ヶ所程度に抑えておきましょう。

大デカールは駆動軸からも考える

以上、これらを踏まえた上で下の画像をご覧ください。
緑はザクの盾、黄はジオンのエンブレム、白は「ZION」の文字であったり機体番号に置き換えてください。
webの作例で多く見られるのは1番です。
なぜこの位置が多い=良いと思う人が多く模倣されやすいのか、というとこの位置が構造的に一番安定して見えるからです。
完全にシールドのセンターに振った2番を見てもらうと逆に不安定に見えます。
これは何故かと言うと2番にもあるように「肩ブロック」の延長線上にエンブレムがあるので裏打ちされた形になり構造的に安定して見えるからなのです。

2番の位置に貼るのであればいっそ振り切って3番のように貼る方が構図的に安定します。
エンブレムとロゴを切り離した4番も同様です。エンブレムの方は肩の駆動軸=振り幅が少ない場所にありますし、5番も斜め貼りしていますが安定しています。

そうなるとガンダムやジムのように持ち手(もしくは前腕への接続部)が付いている盾もそこの座標に貼る方が構図として安定することが分かるかと思います。

一方、前スカートは可動軸から遠い下端の方に貼られる事がほとんどなので、これも全ての事例に当てはまる事ではないですが貼る座標の一つの基準にはなるかと思います。

視線誘導を考える

小デカールでもそうですが、視線の誘導というとこんな感じの想像しませんでしたか
顔から始まって大きく目立つ部分を経て足元への移動を想定する視線のルートですね。

ですがパッと見で他人が、自分が意図した通りに見てくれたりとかはありません
色々見て欲しい作り手に対して、そもそも見ている側は初見で視線があっちに行ったりこっちに行ったりすることを好みません。
なので視線誘導が重要と言われるのですが、一定の流れがある漫画のコマ割りやデザインポスターと違ってプラモデルの単体撮影の場合はグラビアアイドルのようなものです。
ボヤッと全体を周辺視して、「良し」と判断すればようやくその後で細部の確認に入るため、視線誘導は言うほど重要ではないかなと思っています。

むしろ特に見てほしい場所を1,2か所設けて、そこを目立たせる方が評価は得られやすいと思います。

デカールは刺身タンポポ(食用菊)です

webに作品を上げたとして見てもらえる時間は1秒、せいぜい3秒と言われます。
「この作品は自分の嗜好に合っている、または何か違う」と思うから人は目を止め、足を止めます。そのインパクトの大部分を担っているのが造形(シルエット)や色彩であり、デカールは本当にわき役なのです。
なにしろ全くデカールを貼っていなくても高い評価を得ている作品は多数ある訳ですから。

ただデカールワークは意味がないのかというと決してそんなことはありません。
手軽に情報量を増やす事ができ、塗装では不可能な表現ができるという実務的な面、なにより明確な意味(ストーリー)を付け足せるという点において造形や塗装とは違ったアプローチが可能になります。

センスがいいと言われるデカールワークは何が上手いのか

このデカール講義のエントリーでは一貫して「失敗しない」を念頭に置いています。
その見地からの実用主義的な結論としてはこの2点です。

貼りすぎない。物足りないぐらいでちょうどいい
・デカールのデザインよりも色を重視する

デカールのデザインの年代を合わせるとか最初のエントリーで述べたように角度を考えるとか色々ありますが、違和感を覚える(失敗した)と思われる原因の一つは「下地色との不協和音」です。
基本的に無彩色(モノクロ色)のデカールを使用すればほぼ回避できます。
これについては2回目のエントリーで説明しています。
失敗しない! 色彩からデカールセンスを法則化する その2

また「貼りすぎない」については1回目で説明しています。
手足などは1ブロック1枚、胴体周りで数枚使う程度にシンプルにまとめる方が見ている方が脳内で補完してくれまし、貼ったら貼った分だけ全体的な色彩バランスをとるのが難しくなっていきます。
失敗しない!デカールを貼る「位置」を理論化してみる。その1

デカールワークはデザインワークと密接に結びついている所があるのでデカール単体での話は一旦終了としますが、デザイン(特に色彩)についてのエントリーでまた触れるかもしれません。